今月の名曲昭和アニソン10選【2019年1月版】

こんにちわ、昭和アニソンオタクDTMerのはなちゃんです。
主に「nana」という音楽アプリで耳コピDTM伴奏を投稿したり、「YouTube」にオリジナル曲を投稿したりしています。
さて、今月の名曲昭和アニソン10選シリーズ、書くの大変だし、読むのも大変そうなのでやっぱやめよ~と第1回でまさかの打ち切りをしたのですが、やっぱこれも書きたいなあと思い直しました(変わり身の早さよ…)。ということで、書き手にも読み手にも易しく、もっと1曲の解説を短文で気軽に読める感じで書いていこうかなと思います。なので、気軽に読んでくださるとうれしいです。とかいいながら結構な文字数になってる気はするのですが……。
なにはともあれ、ぜひ原曲をぽちっと再生しながら読んでください!

01.ペペロの冒険
「アンデス少年ペペロの冒険」OP

放送年 – 1975年~1976年
作詞 – 楳図かずお / 作曲・編曲 – 山下毅雄
歌 – 堀江美都子

「コンドルは飛んでいく」をオマージュしたアンデス民謡風アニソン

『アンデス少年ペペロの冒険』という作品は、その名の通り南アメリカにあるアンデス山脈を舞台にした作品で、このOP「ペペロの冒険」もアンデスのフォルクローレ(民謡の意味)のアレンジになっている。ちなみに同じくアンデスを舞台にしたアニメとして『母をたずねて三千里』が有名だが、『アンデス少年ペペロの冒険』の方が『母をたずねて三千里』より放送が1年早い。
「ペペロの冒険」の作曲は山下毅雄。山下毅雄はジャズがベースとなった極めて洋楽らしいセンスを持つ、破綻ギリギリのデンジャラスな曲作りをする作曲家だが、「ペペロの冒険」は素朴で繊細な曲になっており、山下毅雄の色が薄い。アンデス民謡感がよく出た曲なので、恐らくアンデスの音楽をよく研究して作った結果、自身の色が薄くなったのだと思う。特に歌の出だしはアンデス民謡の中でも最も有名な「コンドルは飛んでいく」のオマージュとなっており、アンデスの音楽へのリスペクトがひしひしと感じられる。
作詞は漫画家の楳図かずおが担当している。これはこの作品の脚本家が楳図かずおの弟が担当していたため、楳図かずおに作詞を依頼する流れとなったそうだ。
そして、この曲を歌うは我らの堀江美都子だ。この曲は堀江美都子の中でも特に難曲だったらしく、1度レコーディングをやり直しているらしい。しかし、その甲斐あってか曲の勇ましさにぴったりとくるいい歌い上がりになっており、堀江美都子の曲の中でも特に堀江美都子しか歌えない曲だと感じさせてくれる曲になっている。

02.電光石火ギャバン-DISCO GAVAN-
「宇宙刑事ギャバン」挿入歌

放送年 – 1982年~1983年
作詞 – さがらよしあき / 作曲・編曲 – 吉村浩二
歌 – 串田アキラ&スペースキャッツ

串田アキラは本当に必要だったのか? ギャバン屈指の怪曲

『宇宙刑事ギャバン』の音楽はみんな大好き渡辺宙明が担当しているが、この曲は吉村浩二が作編曲を担当している。もっとも、『宇宙刑事ギャバン』の歌ものの曲は他の作曲家作の曲も多数あるので珍しくはない。
吉村浩二は作曲家としての活動よりもジャズの音楽ライターとしての活動をメインにしているようだ。しかし、バークリー音楽院を卒業した実績を持つだけのことがあり、「電光石火ギャバン-DISCO GAVAN-」を聴く限りその作曲能力は高い。ディスコらしいグルーヴ感たっぷりのアレンジは思わず踊りだしてしまいそうになるほどノリがいい。特に1番のあとの音数が少なくなるところが渋くてカッコいい。
ところでこの曲のボーカルはOP「宇宙刑事ギャバン」も歌った串田アキラとなっているのだが、この曲において串田アキラはひたすら必殺技を叫ぶだけの役に徹している。サビに若干の歌唱パートはあるのだが、そこも串田アキラではなく、コーラス隊のスペースキャッツだけが歌っている。
串田アキラのしゃがれた声による叫び声はかっこいい! かっこいいのだが、この曲でOP「宇宙刑事ギャバン」と同じギャラをもらったのかが気になるところだ。そして、「串田さん、今回はセリフだけです」と言われて歌手・串田アキラは不服ではなかったのだろうか……。

03.星のサンバ
「星の王子さま プチ・プランス」ED

放送年 – 1978年~1979年
作詞 – 阿久悠 / 作曲 – 三木たかし / 編曲 – 長戸大幸
歌 – トゥインクル・シスターズ

阿久悠節が光る大人のためのアニソン

12月に発売された「誰もが勇気を忘れちゃいけない~大事なことはすべて阿久悠が教えてくれた~」で全アニソンファンが待っていたあの曲が初CD化された。それはもちろんあれだ、『星の王子さま プチ・プランス』のOP「星の王子さま プチ・プランス」とED「星のサンバ」だ。みんなはもう手に入れたかな? え、まだ? それはいけない、早く手に入れるのだ!
「星のサンバ」は、阿久悠作詞のアニソンとしてはかなり知名度が低い方だが、阿久悠が作詞したアニソンの中でもとりわけ阿久悠らしい1曲になっている。阿久悠の歌詞らしいと感じる作詞のパターンとして、ストーリー性の強い歌詞、比喩表現を用いた歌詞など何通りかあると思うのだが、そのひとつにメッセージ性の強い歌詞というのがある。「星のサンバ」はまさにそれで、どんな偉そうで嫌な大人も昔は純粋な子供であったというメッセージが書かれている。
サビでは、そんなひねくれた大人でも星のサンバを聴けば素直な心に戻るのだと歌われているが、この「星のサンバ」とは『星の王子さま プチ・プランス』という作品自体を指しているのではないだろうか。ということを思いながら、この作品の原作となったサン=テグジュペリの小説『星の王子さま』のWikipediaを読んでいると、この作品は児童文学でありながら、子供の心を失った大人に向けての作品であるという記述があったので実際その意味で間違いはなさそうだ。
しかし何故サンバなのかは謎である。

04.J.A.K.Q. 進めジャッカー
「ジャッカー電撃隊」挿入歌

放送年 – 1977年
作詞 – 八手三郎 / 作曲・編曲 – 渡辺宙明
歌 – ささきいさお、ザ・チャープス

スキャットが冴えるThe宙明サウンド

初期の戦隊シリーズの音楽が好きだ。特に戦隊ものは主題歌よりも挿入歌に見過ごせない個性的な曲が揃っているように思う。『秘密戦隊ゴレンジャー』の挿入歌も粒揃いで好きなのだが、『ジャッカー電撃隊』もなかなか熱い。その中でもこの「J.A.K.Q.進めジャッカー」が私のお気に入りだ。
この曲の作編曲を担当したのは初期の戦隊シリーズの音楽を担当した渡辺宙明。この曲は非常に渡辺宙明らしい曲になっている。
渡辺宙明の曲の特徴のひとつとして、ディスコティックな女性スキャットがある。渡辺宙明は女性のスキャットが入った曲がとても好きらしく、特撮ソングにどうにか女性スキャットを入れようとしてきたが、男の子向けである番組の主題歌にそれはふさわしくないと却下されてきたらしい。そんな中で『宇宙刑事シャイダー』の主題歌ではじめて女性スキャットを入れることが許されたそうだが、それ以前にもこの曲を含め、挿入歌には女性スキャットの入った曲が数曲ある。恐らく挿入歌は比較的自由にアレンジできたのだろう。
そんな女性スキャットの宙明ソングの中でもこの曲は特に渡辺宙明の趣味に走った曲ではないかと感じられる。というのも、前述の「電光石火ギャバン-DISCO GAVAN-」よりはまだ幾分かはマシだが、この曲もささきいさおの歌唱部分が少なく、ザ・チャープスによるスキャットがボーカルよりも印象に残る構成になっているからだ。アレンジも16ビートを刻むクラビネットが主張する渋いディスコファンク調だし、ほぼほぼ番組とか聴く層を考慮せずに作られた曲なように感じる。でもそこがいい。

05.ぼくらは旅の音楽隊
「風船少女テンプルちゃん」OP

放送年 – 1977年~1978年
作詞 – 丘灯至夫 / 作曲・編曲 – 越部信義
歌 – 大杉久美子、ヤングフレッシュ

歌詞とリンクした楽しいオブリガート

越部信義の曲はいい意味で子供らしい。子供心をわくわくさせるような、いろんな楽器が楽しげに鳴っているからだ。それに越部信義の音楽は勢いがあっていい。たまに「ジムボタンの歌」などあまりにも攻撃性が高すぎる曲もあるのだが、アニソンというのはこれくらい心に高揚感をもたらすものでいいと思う。
この「ぼくらは旅の音楽隊」も作品のテーマが音楽であることもあり多彩な楽器が使われており、非常に鮮やかでポップなマーチに仕上がっている。特に主人公のテンプルちゃん率いる音楽隊が鳴らすフルート、ギター、ラッパ、ベースといった楽器が歌詞に併せてオブリガートとして入ってくるところが非常に秀逸だ。
オブリガートとは主旋律を引き立てるため伴奏楽器で奏でられる短いフレーズのことだ。クラシック音楽には必須のもので、昔の作曲家は基本クラシックから音楽を学んでいることが多いため、古い曲はこのオブリガートというものが曲に大抵入っている。
ちなみに近年はオブリガートを入れると演歌っぽくなると考えられているためオブリガートは入れず、メロディで曲を埋めるのが主流だ。個人的にはオブリガートは曲に深みを出し、雰囲気を盛り上げるためにはとても大事な要素だと思っているのでこの時代の流れには残念さを感じていたりする。

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