ジミヘン感溢れる破天荒サウンド「はじめ人間ギャートルズ」はじめ人間ギャートルズ(1974)

こんにちわ、昭和アニソンオタクDTMerのはなちゃんです。
主に「nana」という音楽アプリで耳コピDTM伴奏を投稿したり、「YouTube」にオリジナル曲を投稿したりしています。

さて宣言通り、なんとか前回から3日以内にブログを更新することができました。
前回の「とんちんかんちん一休さん」に続く2曲目は『はじめ人間ギャートルズ』のOP「はじめ人間ギャートルズ」を選曲しました。
元々好きな曲でしたが、久々に聴くと、改めてこの曲の持つパワーに圧巻されたのでこの曲を解説していきたいと思います。

ぜひ、原曲を再生しながら記事を読んでください!

はじめ人間ギャートルズ

放送年 – 1974年~1976年
作詞 – 園山俊二 / 作曲 – かまやつひろし / 編曲 – あかのたちお
歌 – ザ・ギャートルズ

『はじめ人間ギャートルズ』は園山俊二原作の原始人たちの日常を描いたギャグアニメだ(原作のタイトルは『ギャートルズ』)。石になる叫び声や、マンモスの群れに踏まれてぺしゃんこになるなど、この作品から定型化したギャグも多い。マンガ肉と呼ばれる骨の回りに肉がついているようなマンガ特有の食べ物も、発祥はこの作品ではないようだが、この作品が定番化させたもののひとつだ。

『はじめ人間ギャートルズ』の主題歌を担当したかまやつひろしは、ムッシュかまやつの名でも知られるミュージシャンだ。60年代はザ・スパイダーズというグループ・サウンズのボーカルとして活動していたが、1970年にバンドは解散。『はじめ人間ギャートルズ』はソロ活動をはじめてからの仕事となる。
ED「やつらの足音のバラード」は90年代にムッシュかまやつ自身がセルフカバーをし、CMに起用されたことをきっかけに再評価を受けた。それをきっかけに、たくさんのアーティストによってカバーもされたので世代ではなくてもご存知の方が多い曲だろう。
確かに「やつらの足音のバラード」もいい曲なのだが、個人的にはOP「はじめ人間ギャートルズ」の方がより好きなので、今回はOPを選曲することにした。

ここからは「はじめ人間ギャートルズ」を3つの項目に分けて解説していこう。

ジミヘン感溢れる吼えるギター

恐竜の足音を思わせるティンパニの力強い音と、エネルギッシュな叫び声からはじまるこの曲は、ザ・ギャートルズという、ザ・ビートルズをもじった歌手名ではあるが、サウンドとしてはビートルズではなく明らかにジミヘンの影響を受けたものだ。
アメリカのロックギタリスト、ジミ・ヘンドリクス、通称ジミヘンは、歪んだギターサウンドの第一人者だ。今やロックと言えば歪んだ爆音ギターが定番となっといるが、ジミヘンが登場するまでは歪んだギターでロックを弾くギタリストなどいなかったため、ジミヘンはロック界の革命児として扱われた。
「はじめ人間ギャートルズ」はそんなジミヘンばりの荒々しく歪んだギターが特徴の1曲だ。
特にジミヘンらしい箇所は、やはり間奏のギターソロだ。ペンタトニックスケールで奏でられる吼えるようなギターのフレーズは泥臭くて超クール! リバーブたっぷりのあえての汚い仕上げ方がまたライブ感を感じさせ、この曲により勢いを与えている。
ちなみにフル版とテレビサイズではギターのフレーズが少し違っているのだが、テレビサイズの方がさらにかっこよくなっているのでぜひ聴き比べていただきたい!

この曲はギター以外の楽器も等しく荒々しい。
次に注目したいのは、イントロ冒頭の悲鳴にも似たキーーっという音だ。ここは恐らく、ヴァイオリンをポルタメント(ある音から別の音に滑らかに移動しながら移る奏法)しながらトレモロ(震えるように弾く奏法)で弾くという変わった奏法が使われている。2番の冒頭から入るストリングスも軽く不協和音に聴こえるコードで弾かれており挑戦的だ。
それからブラスもいちいちアタック感の強い吹き方がされており、なにかの鳴き声のようで生々しい。

このサウンドが果たして原始人っぽくあるのかは謎であるが、この破天荒でエネルギッシュなサウンドは、ナンセンスでシュールなギャートルズの世界にはよく合っているのではないだろうか。

ところで同じく原始人の生活を描いたアニメで『わんぱく大昔クムクム』という作品がある。こちらの主題歌「クムクムのうた」の編曲も「はじめ人間ギャートルズ」と同じくあかのたちおが担当している。
どちらの主題歌もやたらファンキーな曲なわけだが、あかのたちお的には原始人といえばファンクというイメージだったのだろうか。

原作者・園山俊二が書くフリーダムな歌詞

「はじめ人間ギャートルズ」の歌詞を書いたのは原作者である園山俊二だ。ギャートルズに登場するキャラクターや用語を羅列しただけの歌詞であるが、ひとつひとつのワードが個性的なためインパクトの強い歌詞になっている。特に最後の方は意味を持ってるのか持ってないか分からないワードが並んでおり、ボーカルの叫び方と相まって非常にカオスな世界観を産み出している。
ある意味子供が書いたような単純極まりない歌詞だが、この言葉の少なさはまだ言語が発展していなかった原始時代を表すのに相応しい歌詞ではないだろうか。園山俊二がそれを狙って書いたのか書いてないのかは分からないが、どちらにしても園山俊二の創作センスのよさを感じさせてくれるいい歌詞だと思う。

ちなみに『はじめ人間ギャートルズ』の歌ものには、当時作中で使われず、レコード化もしなかったという幻のイメージソング「死神のテーマ」「マンモーのテーマ」「ヒネモグラのテーマ」という曲が存在する(平成に入り無事CD化された)。それらもすべてこのOPとEDと同じく、かまやつひろし、園山俊二のコンビにより作られている(編曲のクレジットがないが、編曲もあかのたちおのように思う)。この3曲も詞もメロディもアレンジもなかなかカオスで秀逸な曲に仕上がっているのでぜひ聴いていただきたい。

で、ザ・ギャートルズって誰なのよ?

ところでこのザ・ギャートルズ、明らかに「はじめ人間ギャートルズ」を歌うための歌手名なわけだが、その正体をご存知だろうか。ザ・ギャートルズの正体は、1970年から1974年までのあいだ放送されていた『ステージ101』という音楽番組内で結成されたボーカルグループ、ヤング101のメンバーだそうだ。そのままのグループ名だとどうしても『ステージ101』の番組の印象が強いため、グループ名を『はじめ人間ギャートルズ』用に変更したのだろう。
ヤング101は串田アキラやこおろぎ’73、ザ・チャープス、太田裕美や谷山浩子などそうそうたるメンバーが所属していたことのあるグループだ。その中でも中心メンバーとなっていたのは、ED「やつらの足音のバラード」を歌ったちのはじめこと若子内悦郎だ。
ヤング101の中から誰がザ・ギャートルズとして歌ったのかは分からないが、恐らく「はじめ人間ギャートルズ」の男性ボーカルのひとりも若子内悦郎であることが予想できる。
ちなみに若子内悦郎は「サンダーマスク」など、他にもアニソンや特ソンを数曲歌っている。

この曲は女性と男性がユニゾンでボーカルを担当し、ひとりの男性がひたすら合いの手……というか叫びを担当しているという構成だ。
この叫びを担当する男性が果たして誰なのかは私は情報を見つけることができなかったのだが、この叫び声、カオスな演奏にまったくひけをとらないからすごい。開幕一発目の“ギャオー”という叫び声も強烈なインパクトだし、合いの手もそれぞれ独特な歌い回しで耳に残る。この曲がエネルギーに溢れている要因はこの男性の叫び声によるところも大きいだろう。
ぜひともこのパートを担当したのが誰か知ってる方は一報いただけるととてもうれしい。

あとがき

『はじめ人間ギャートルズ』は本当に音楽に恵まれたアニメだと思います。
「やつらの足音のバラード」は園山俊二先生とタメで話して作ったとムッシュかまやつが言っていたそうなので、恐らくどの曲も制作者の思いが詰まった曲なのでしょう。だからどの曲も厚みを感じるいい曲なんでしょうね。

ちなみ私は以前、イメージソング「ヒネモグラのテーマ」を打ち込んでいます。
かわいくて、独特な曲なのでぜひ聴いてください!

それではまた次回お会いしましょう!

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