こんにちわ、昭和アニソンオタクDTMerのはなちゃんです。
主に「nana」という音楽アプリで耳コピDTM伴奏を投稿したり、「YouTube」にオリジナル曲投稿したりしてます。
昭和のアニソン好きを拗らせて、12月から昭和アニソンの楽曲解説ブログをはじめたわけですが、もう少し記事の更新速度をあげたいなと思い、今回から1記事1曲集中で記事を書いていくことにしました。
できれば2、3日に1度のペースで記事を投稿できればと思っているので、追いかけていただけるとうれしいです。
さて、記念すべき第1回目は誰もが知るアニソン、「とんちんかんちん一休さん」を選びました。
先日、この曲を打ち込み、nanaの方に昭和アニソン伴奏50曲目記念として投稿しました。元々好きな曲でしたが、打ち込んでみると新たな発見が多々あったので、皆さんにもこの記事を通してこの曲の新たな一面を知っていただけると幸いです。
ぜひ、原曲及び、私の打ち込みを再生しながら記事を読んでください!
とんちんかんちん一休さん
アニメ『一休さん』OP
放送期間 – 1975年~1982年
作詞 – 山元護久
作曲・編曲 – 宇野誠一郎
歌 – 相内恵、ヤング・フレッシュ
1975年に放送が開始されてから7年も放送が続いた長寿番組である『一休さん』は、室町時代に実在した僧侶、一休宗純をモデルとした作品だ。先日訃報が報じられた声優の藤田淑子の代表作としてもお馴染みだろう。
『一休さん』の主人公・一休といえば頭のよくきれる頓知坊主として描かれているが、実際の一休宗純は本来、僧は禁止されているはずの飲酒や肉食、女遊びを行う生臭坊主だったようで、アニメと実物には大きな差があるようだ。
そんな『一休さん』の主題歌「とんちんかんちん一休さん」は、アニメの一休と実物の一休がかけ離れた存在であるように、和風な作品とはかけ離れたジャズ要素たっぷりな1曲に仕上がっている。“なむさんだ”という言葉や、ぽくぽくという木魚に似た音に一瞬和風な曲と勘違いしそうになるが、とてもファンキーな曲である。
ここからは「とんちんかんちん一休さん」を3つの項目に分けて解説していこう。
一瞬で耳を釘付けにするトリッキーなイントロ
まずこの曲の一番の特徴はイントロだ。
ブラスが高らかと鳴り響くイントロはCmとDを繰り返す非常に挑戦的なコード展開からはじまる。この不安定でトリッキーなイントロは2小節という短いフレーズにも関わらず、そのインパクトの強さで見事に聴衆の耳を釘付けにし、曲の世界観に引きずり込んでいく。
そんな「とんちんかんちん一休さん」の作編曲を担当したのは宇野誠一郎だ。宇野誠一郎は他に『ムーミン』や『山ねずみロッキーチャック』、『ふしぎなメルモ』などの音楽を担当したアニソン黎明期を支えた作曲家のひとりである。
宇野誠一郎はジャズの要素を含ませた、童話のようなあたたかな曲作りを得意としている。ジャズ要素たっぷりの「とんちんかんちん一休さん」もいかにも宇野誠一郎らしい1曲と言えるだろう。
この曲はイントロの他にも聴きどころの多い曲で、例えばおかずとして入ってくるピアノはジャジーなフレーズで曲をさりげなくおしゃれに彩っている。ちなみにこのピアノのフレーズ、テレビサイズとフルサイズで若干アレンジが違っており、テレビサイズの方がより派手なものになっているのでぜひ聴き比べていただきたい(ちなみに私はテレビサイズの音質が悪く聴き取りづらかったため、フルサイズを基準に打ち込んでいる)。
そしてベースもこれまたジャズでよく使われるウォーキングベースが採用されている。ウォーキングベースとはその名の通り階段状に上下する歩くようなベースのことだ。ウォーキングベースにもいろいろなラインの取り方があるが、この曲のベースは主旋律とハモるようなラインの取り方をしている箇所が多く、曲の響きをより豊かにしている。
それから、スイングするドラムや、効果的に入ってくるブラスもかっこいい。そんなクールな演奏の中で、ぽくぽくという木魚っぽい音や、メロディとユニゾンする形で鳴る木琴の音が密かにコミカルな雰囲気も醸し出しているのもおもしろい。
当時小学2年生の少女の拙い歌声
「とんちんかんちん一休さん」のメインボーカルを担当した相内恵は、この曲のコーラスを担当したヤング・フレッシュのメンバーで、当時小学2年生だったそうだ。
いかにも子供らしい歌声は、決してうまいわけではないのだが妙に癖になるし、耳にもつきやすくて私は好きだ。
ちなみに、当時はこのように子供がボーカルを担当するアニソンが多かったわけだが、それは、テレビの前の子供に親近感を湧かせるためや、子供たちが曲を口ずさみやすいようにといった効果も狙ったものだったそうだ。
そんな数ある子供ボーカルもののアニソンの中でも、「とんちんかんちん一休さん」はボーカルの音程が特に不安定な部類の曲だ。それをカバーするためか子供コーラスの入る箇所も他の曲に比べて多い。
しかし、相内恵の歌声の不安定さは決して不快ではない。むしろ曲の味となり、かわいいとすら思える仕上がりだ。
そして下手をすればアニソンではなく大人っぽい曲になりかねないこのジャジーな曲がアニソンらしく聴こえるのは、この子供ボーカルのおかげのところが大いにあるだろう。「とんちんかんちん一休さん」を子供ボーカルに、しかも低年齢の子供に歌わせたのは大正解だったと思う。
それから『ひょっこりひょうたん島』などを手掛けた放送作家・山元護久による“とんちんかんちん”や“わからんちんどもとっちめちん”などのリズム感のいい歌詞も、子供ボーカルと相性抜群だ。
しかし、2番の“おかおはざんねんだよ さんきゅうひん”という歌詞はなかなか残酷だと思う。
この曲は作品とマッチしているのか?
さて、そんなジャズテイスト満載の「とんちんかんちん一休さん」なわけだが、果たして純和風である『一休さん』という作品とマッチしているのだろうか。
結論から言うと、とてもよくあっていると思う。
『一休さん』という作品は、主人公一休が頓知を働かせ、皆の裏をかいた策で意地の悪い大人に一泡吹かせていくストーリーだ。
そんな一休の常識に捕らわれない発想力と、常識に捕らわれず和風な作品にジャズをぶつけた冒険性は通じるものがあるのではないだろうか。
むしろ一休のファンキーなキャラクター性を表現するには、このアグレッシブでファンキーなこの曲以外はないようにすら思う。
あとがき
いかがだったでしょうか。
「とんちんかんちん一休さん」という曲を改めてじっくり聴くきっかけになっていただけたならうれしいです。
中にはこの曲を今すぐ歌いたくなった方もいらっしゃるのでは?
そんな方はぜひはなちゃんの作った伴奏で歌いにきてください!
ところで一休さんは未だにサウンドトラックや歌曲集のようなCD化が済んでいません。これだけメジャータイトルの作品がまだCD化されないとなると大人の事情がなにかありそうな気はしますが、そろそろ出てほしいものです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!
「僧とジャズの不思議な調和「とんちんかんちん一休さん」一休さん(1975)」への1件のフィードバック